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《海のあくびは星を集める船になる》
途中式
2019.11.2[土]-11[月]
コンペティション/Competition 《海のあくびは星を集める船になる》途中式: 黙想と思想
海を見ると安心する一方で、怖いと感じることができませんでした。海が身近にある国や地域ほど海の怖さを伝える神話や歌が多くあり、海を知っている人ほど海を怖いと感じているのではないかと思っていました。自分が海を怖いと思わないのは海を知らないからだと思い、危機感を持っていました。
夏休みにひとり旅をしました。北海道で長時間、海を観察することができました。羅臼のビジターセンター[国立公園や国定公園などにおいて、その自然(地形・地質・動植物)などの情報を展示・解説し、公園の利用案内を行っている施設]で流氷に挟まれて死んだシャチの家族の写真を見て、ようやく海のことを怖いと思うことができました。
流氷に挟まれたシャチから大量の血が出ていました。シャチの白黒とまぶしいくらいの流氷の白が、血で真っ赤に染まっている写真を見て、自分の地元の風景のことを思い出しました。
地元の夜の景色に、山に並ぶ鉄塔の赤い電灯が点滅する光景があります。小さい頃から並んだ赤い鉄塔の光は、蟹の目に見えて、山の向こう側から自分の住む町をずっと見られているような想像をしていました。いつかその巨大な蟹たちは、山の向こう側から自分の住む町を襲って来るんじゃないかと思っていました。
真っ赤に染まった流氷とシャチが、その時自分がいたビジターセンターの近くまで来ていたという事実と、赤く光りながら自分の住む町まで迫って来る蟹の想像が重なりました。
夜の何も見えない闇の中を、赤く光りながら流氷に運ばれてだんだん近づいてくる、海洋系の食物連鎖の頂点にいる生き物。しかしよく見ると、赤い光はその生き物が流している血であり、頂点にいる生き物でさえ、海によって死に追いやられている。
このようなことが想像され、海を怖いと思うことができました。
地元から海は遠く、自分にとっての海は身近にあるものからヒントを得て想像するものです。流氷に挟まれて死んだシャチの家族の写真を見て、今まで想像してきた海からズレが生じ、同時に新たな想像が生まれました。そして、今まで作ってきた海のイメージが崩壊しました。
自分は普段目にするものや見えないものを捉えようとする時、重要なベースになるのが海です。しかし自分の持っていた海のイメージが崩れた今、再び海について考え直さなければなりません。
海が怖いと思ってからずっと考え直してきたことを、このコンペの場を借りて一度それらを整理して目に見える形にすること、他人に見てもらうこと、そして考え続けることをしようと思いました。
「海」について求める途中式だと自分は捉えています。
この作品はもう一度海について求め直すところを現在進行形で見せる作品です。
コンペティション/Competition 《海のあくびは星を集める船になる》途中式: 黙想と思想
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